BCPよりも簡単に作れてメリットも多い事業継続力強化計画とは

2025年12月8日に、青森県東方沖を震源地とする地震が発生しました。被災された方々に心よりお見舞い申し上げます。

はじめに

事業を継続していくうえでは、地震や水害といった自然災害はもちろん、感染症の流行やサイバー攻撃など、様々なリスクと向き合っていかなければなりません。中小企業が各種リスクへの耐性を強化していくための施策として、2019年に「事業継続力強化計画」の認定制度が始まりました。

今回は、「事業継続力強化計画」について解説していきます。
詳細については、中小企業庁のウェブサイトをご参照ください。

事業継続力強化計画(中小企業庁)

事業継続力強化計画とは

中小企業庁が公表している「事業継続力強化計画認定制度の概要」には、まず最初に制度概要として次のような説明がされています。

「事業継続力強化計画」とは、中小企業・小規模事業者が災害リスク等を認識し、自社の防災・減災対策の第一歩として取り組むために、必要な項目を盛り込んだもので、現在及び将来的に行う災害対策などを記載するものです。認定を受けた中小企業者は、防災・減災設備に対する税制措置、低利融資、補助金の加点措置等を受けることができます。

災害リスクに対する計画として、以前から「BCP(Business Continuity Plan)(事業継続計画)」がありました。東日本大震災の直後に注目され、大企業を中心に策定率は上がってきているものの、膨大な資料を作成する必要があることから、中小企業には負担が重いのが実情です。そのような状況の中、2019年に事業継続力強化計画の認定制度が始まりました。

事業継続力強化計画は「簡易版BCP」と呼ばれることもあり、中小企業はもちろん、従業員数名の小規模事業者であっても、大きな負担なく策定できる仕様になっています。

計画策定のメリット

リスクを想定して対策を計画的に進めていくことで、実際に災害が発生したときに、事業を継続していける可能性が高まります。反対に、何も対策していない状態でリスクが直撃してしまったら、経営に大きなダメージを受けるであろうことは、直感的に理解していただけるでしょう。

事業継続力強化計画策定のメリットは、まずは「リスクへの耐性が強化される」点にあります。

といっても、経営者のみなさんは日々の業務が忙しくて、なかなか「リスク対策の計画を作ろう」とまでは思えないのではないでしょうか。そこで、事業継続力強化計画の認定を受けた事業者に対して、次のようなメリットが用意されています。

  • 金融支援:日本政策金融公庫の低利融資等
  • 税制優遇:特定事業継続力強化設備等の特別償却
  • 補助金加点:ものづくり補助金・中小企業省力化投資補助金・小規模事業者持続化補助金等
  • 損害保険料等の割引

もしかすると、リスクへの耐性強化を検討していて「事業継続力強化計画を作っておこう」となる事業者よりも、補助金申請の場面などで「加点対象なので認定を受けておこう」と考える事業者のほうが多いのかもしれません。

ですが、いずれにしても、計画の策定を通じてリスクへの耐性が強化されることは間違いないでしょう。

計画策定と申請の手順

計画は、次の5つのステップで作成していく仕組みになっています。

  1. 計画策定の目的
  2. 災害等のリスク確認・影響測定
  3. 発災時の初動対応の内容・手順
  4. ヒト・モノ・カネ・情報への事前対策・事後対応
  5. 平時の推進体制、訓練・見直し方法

中小企業庁が公表している「事業継続力強化計画策定の手引き」に記載例とポイントが載っていますので、それを参考に作成していくのがおすすめです。

申請は「事業継続力強化計画電子申請システム」から行います(紙での申請はできなくなりました)。システムの利用にはGビズIDアカウント(プライムまたはメンバー)が必要です。

GビズIDの取得方法については、次の記事で簡単に解説しています。
経営事項審査申請の電子申請を行政書士事務所に委任する方法

申請から認定までの、審査の標準処理期間は45日とされています。補助金によっては「申請中」でも加点になる場合がありますので、各種公募要領等をご確認ください。

おわりに

今回は、事業継続力強化計画について説明してみました。支援施策の活用を見込んで計画を策定する事業者さんが多いかとは思われますが、途中で述べたとおり、自社を取り巻くリスクを想定して事前に対策を検討しておくことは、名前のとおり事業継続力の強化につながります。

補助金申請の際に慌てて認定申請をするのではなく、少しでも余裕があるときに多少の時間をかけて、自社の事業継続力強化について考えてみるのもよいのではないでしょうか。