スポットワーク(スキマバイト)活用の注意点と意外なメリットを社労士が解説

はじめに

短時間・単発で人材を補充する方法として、スポットワーク(スキマバイト)の活用が広がってきました。今回の記事は、社会保険労務士事務所として、スポットワークを活用する際の注意点と、意外なメリットについて説明していきます。

いつものとおり、当社のメイン顧客である中小企業の経営者および労務担当者を対象としていますが、建設現場の作業員は、今回の記事で説明するスポットワークの対象外となっているのでご注意ください。

スポットワークとは

一般社団法人スポットワーク協会によると、スポットワーク自体の定義は「短時間・単発の就労を内容とする雇用契約のもとで働くこと」とされています。

スポットワークFAQ(一般社団法人スポットワーク協会)

ようするに単発バイトのことなのですが、近年ではスマートフォンのアプリを経由して不特定多数からの応募を受け付けるパターンが主流になっています。

雇用する側として興味があるのは、次のような点ではないでしょうか。

  • どうやって雇うのか
  • どんな業種で使えるのか
  • どれくらいの費用がかかるのか
  • 社会保険に入れないといけないのか
  • ドタキャンされないのか

上記の点について、一つずつ確認していきましょう。

どうやって雇うのか

一般的には、仲介事業者を挟むことになります。事業主が仲介事業者に登録してシステム上で募集をかけ、その募集に対してスポットワーカーが応募することによって、雇用契約が成立(マッチング)します。アプリ経由の場合、「応募者の先着順で面接なし」というパターンが主流になっているようです。

なお、本記事はスキマバイトサービス最大手の、タイミーのシステムを参考にしています(広告ではありません)。他のサービスでは扱いが異なる部分もありますので、ご承知おきください。

【タイミー】スキマバイト募集サービス | 求人掲載はこちら(Timee)

どんな業種で使えるのか

アプリを提供している事業者がおこなっているのは求人者と求職者の仲介ですので、有料職業紹介事業に該当します。そのため、職業安定法で有料職業紹介が禁止されている「港湾運送業務」と「建設業務」は対象外です。なお、「建設業務」はいわゆる現場作業を指しますので、建設会社の事務員募集に利用することはできます。

上記タイミーのウェブサイトには、「募集できる仕事」として、次のような業種が掲載されています。

  • 飲食(洗い場・ホール・調理・締め作業など)
  • 小売(レジ・納品・受付・接客・検温作業など)
  • 物流(ピッキング・梱包・仕分け・搬出など)
  • オフィスワーク(電話対応・データ入力・事務作業など)
  • 配送(フードデリバリー・荷物配達など)
  • その他(引越し・清掃・保育補助・介護補助など)

どれくらいの費用がかかるのか

こちらもタイミーの場合ですが、次のような計算になっています。

(時給×勤務時間)×サービス利用料(30%)+振込関連手数料(200円)

ここに消費税がかかりますので、時給1,500円で4時間の実績があった場合の金額は次のようになります。

{(1500 x 4) x 0.3 + 200} x 1.1 = 2200

おおむね「時給が3割増しになる」イメージでよいのではないでしょうか。

社会保険に入れないといけないのか

タイミーの場合、社会保険加入の条件に届かない範囲でしかマッチングできないようです。以前の記事で説明した「月収8.8万円の壁」を超えないよう、「同企業での報酬は月間78,000円未満」とされています。

「年収の壁」に関する近年の動き−社会保険制度を中心に

ドタキャンされないのか

これは、完全に防ぐことはできないようです。ただし、無断欠勤した経歴がある人には「ペナルティポイント」をつけて申込みを制限するなど、対策はとられているようです。

スポットワーク活用の注意点

短時間・単発といえども雇用契約(労働契約)を結ぶことになりますので、労働基準法をはじめとした労働関係法令を順守しなければなりません。

もちろん、契約時に労働条件の明示が必要になりますが、その点はアプリの活用で作業が簡素化されているようです。また、最低賃金に満たない給与での求人は受け付けられないため、最低賃金法違反の心配もないでしょう。

なお、契約成立後に事業者側の都合でキャンセルする場合は、原則として休業手当の支払いが必要となります。タイミーなど、一般社団法人スポットワーク協会のガイドラインを順守するサービスの場合、2025年9月1日以降は、休業手当として「予定給与満額」を支払うことが原則となりました。それ以前は休業手当が払われていないケースもあるようで、運営会社(株式会社タイミー)を相手とした訴訟も起きているようです。

スポットワーク活用のメリット

スポットワーク(サービス)の活用によって、短時間・単発の人材募集がおこなえる点は、説明するまでもないでしょう。ここでは「意外な」メリットを挙げてみます。

長期採用の入り口にも

アプリの活用によって不特定多数に募集をかけることができるため、ときには想定以上の優秀な人材に出会えるかもしれません。先方も職場を気に入ってくれれば、リピーターになってくれることもあるようです。

お互い1回だけで見極めるのは難しいでしょうが、数回の「お試し期間」の中で良好な関係が築ければ、長期間の契約につながるかもしれません。タイミーの場合、あらためて雇用契約が結ばれて「この先はタイミーの仲介なしで」となった場合でも、とくに追加料金などは発生しないようです。

業務を見直すきっかけに

スポットワークの場合、どうしても未経験者の活用が前提となります。そのため、専門性の高い業種での活用は難しいと考えられがちですが、そうとも限らないようです。

熟練の職人さんがおこなっている作業の中にも、例えば準備や片付けなど、未経験者でもできる作業があるかもしれません。自社の作業内容を見直して、作業者のレベルによって担当できるものを整理することによって、人材の有効活用につながるのではないでしょうか。

おわりに

今回は、スポットワーク(スキマバイト)活用のポイントについて解説してみました。建設現場は対象外ですが、飲食・物流・介護といった人手不足に悩む業種での活用が進んでいるシステムです。新しい人材募集の手段として、検討してみてはいかがでしょうか。
(くり返しになりますが、タイミーの広告ではありません)